〔オンライン〕幻の都市・国府の謎に迫る!1300年前に各国を統治した権威の象徴「国府」とは？

講師：青柳祐馬　氏
江戸、街道といった街歩きを中心に、ガイド歴15年以上。歩かなければわからない歴史の魅力を伝えてい く旅の案内人です。
「楽しく」「ためになる」お話をご提供します。

★★講座概要★★

・国府とは
大化の改新（645）以降、中央集権国家体制の確立に伴い、奈良時代から平安時代にかけて全国に設置されました。国府の定義は古代日本の律令制のもとで、地方行政の中心として各国（現代の都道府県にほぼ相当）に置かれた役所や都市のことで、現代で言う県庁所在地にあたります。その役割として、中央から派遣された「国司」が政務を執り、徴税、軍事、治安維持などを司る地方政治の拠点でした。また、国府はその地方の文化の中心地としても栄えました。国府の近くには、仏教による国家鎮護を目的として国分寺や国分尼寺が建立されることが多く地域信仰の拠り所となっていました。

・国司とは
日本の律令制において、中央政府（朝廷）から地方の国（現在の都道府県に相当）へ派遣され、その国の政治全般を司った地方役人のことです。国司の業務は地方の行政、財政（租税の徴収）、司法、軍事など多岐にわたり、それらを統括する任に当たっていました。通常「守（かみ）」、「介（すけ）」、「掾（じょう）」、「目（さかん）」の四等官で構成される仕組みで都の貴族が任命されました。彼らは任国に赴任して郡司（地方豪族が務めた）を統率しました。平安時代中期以降になると、国司の地位は利権化し、現地に赴任しない遥任（ようにん）や、私腹を肥やす受領（ずりょう）と呼ばれる国司も現れ、地方支配が次第に形骸化していきました。さらに鎌倉時代以降は、幕府が任命する守護が軍事・警察権を握るようになり、国司の権限は徐々に衰退しました。

・国分寺と国分尼寺
奈良時代に聖武天皇の命によって、日本の各国ごとに建立された国家のための仏教寺院（官寺）です。国分寺は僧侶（通常20名）が常駐し、国の平和（鎮護国家）、繁栄、社会不安の解消などを祈願しました。東大寺が全国の国分僧寺の総本山として「総国分寺」と呼ばれました。一方、国分尼寺は尼僧（通常10名）が常駐し、主に女性の成仏や罪の滅除などを祈願しました。奈良の法華寺（ほっけじ）が総国分尼寺の性格を有していました。

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