感性の地図
阪急交通社旅行スペイン担当、金﨑がカナリア諸島に着く。旅行企画のため現地法人のオフィスを拠点に海外研修がはじまる。「感動」を求め感覚を研ぎ澄ませて様々なフィールドを散策していく。
大小8島からなるカナリア諸島は、アフリカ大陸のモロッコから西約100kmの沖に位置する。
年間を通して温暖なことからヨーロッパ圏のリゾート地として発展してきた。
カナリア諸島最大のテネリフェ島は長い年月をかけて造成された火山島で、何層もの樹皮に覆われ火に強いカナリア松、幹を傷つけると流血するように朱色の樹液を流す竜血樹が自生する。本国から遠いこの地にスペイン最高峰テイデ山があり、雄大な地球の造形を見ることができる。溶岩の断崖に囲まれたラ・ゴメラ島の中央部は霧に覆われた手付かずの神秘的な森林や島特有の貴重な植物を観られる。
大航海時代にスペインの支援を受けアメリカ大陸を発見したコロンブスが寄港して以来、大西洋を横断するための重要な中継地として栄えてきた。現在でも航海の要所で、マストにスペイン国旗、船尾に日の丸を掲げながらマグロ漁船が入港するところもしばしば見られる。
テネリフェ島のラ・ラグーナは、パステルカラーの街並みが特徴で、かつての王宮や貴族の邸宅、教会が多く、また南米の雰囲気も色濃く、街全体が世界遺産になっている。ラ・ゴメラ島では、島の赤い肥沃な土壌に隅々まで段々畑が作られ、整然と並ぶナツメ椰子の木や、ジャガイモの濃い緑は、大海原の先に、アメリカ大陸があることを思わせる。
カナリア料理は、南米仕立ての海の幸と山の幸を取り入れたスペイン料理だ。
茹でたジャガイモに赤や緑が鮮やかでスパイシーな「モホソース」を添える家庭料理や、近海で穫れる魚介、とくにマグロを使った料理が並ぶ。保存や輸送が難しいヤギのチーズ、懐かしい甘味のヤシの実ソースなどは現地でしか味わうことができない。
金﨑の実体験が「地図」を広げていく。