世界遺産 〜The World Heritage〜
第222回 イギリス
「開発」の危機にある 大英帝国の海商都市
2004年に世界遺産に登録されたイギリス西海岸の港町リヴァプール。今ではビートルズの出身地として知られますが、18~19世紀には海商都市として名を馳せ、大英帝国の絶頂期を支えていました。
17世紀に北米との貿易が盛んになり、商業都市として繁栄しましたが、さらに18世紀の産業革命の時代になると、海外からの輸入原料を受け入れる港として、そして大量生産された加工品を世界中へ輸出する港として、飛躍的な発展を遂げます。しかし、その繁栄の裏にはリヴァプールの商人たちが、アフリカの黒人奴隷とカリブ海の産物を取引する三角貿易を盛んに行い、莫大な利益を得たうえでの繁栄という負の歴史があったことも拭えません。そんな歴史を象徴するかのように、市庁舎の壁には砂糖や綿など、リヴァプールに持ち込まれた新大陸の産物が彫刻されていますが、一方で、別の建物にはこれらを得るために商品として扱われた黒人奴隷が彫刻されています。
世界遺産にはピア・ヘッド、アルバート・ドック、スタンリー・ドック保存地域、キャッスル・ストリート保存地域、ウィリアム・ブラウン・ストリート保存地域、ロープウォークスの6つの地域が登録されました。なかでもピア・ヘッドはスリー・グレイシズ(美を司る三女神)と呼ばれるロイヤル・リヴァー・ビルディング 、ドック・ビルディング 、キューナード・ビルディングが存在している地域で、リヴァプールの水辺の中心的位置にあり19世紀から20世紀にかけての港の繁栄ぶりを伝えるものとなっています。しかし近年、再開発計画が持ち上がり、歴史的景観を損なう恐れがあるとして2012年には危機遺産リストに登録されました。今をもたらした海商の発展とその裏にあった奴隷売買の歴史を、果たして「開発」の二文字だけで破壊してよいのでしょうか。
17世紀に北米との貿易が盛んになり、商業都市として繁栄しましたが、さらに18世紀の産業革命の時代になると、海外からの輸入原料を受け入れる港として、そして大量生産された加工品を世界中へ輸出する港として、飛躍的な発展を遂げます。しかし、その繁栄の裏にはリヴァプールの商人たちが、アフリカの黒人奴隷とカリブ海の産物を取引する三角貿易を盛んに行い、莫大な利益を得たうえでの繁栄という負の歴史があったことも拭えません。そんな歴史を象徴するかのように、市庁舎の壁には砂糖や綿など、リヴァプールに持ち込まれた新大陸の産物が彫刻されていますが、一方で、別の建物にはこれらを得るために商品として扱われた黒人奴隷が彫刻されています。
世界遺産にはピア・ヘッド、アルバート・ドック、スタンリー・ドック保存地域、キャッスル・ストリート保存地域、ウィリアム・ブラウン・ストリート保存地域、ロープウォークスの6つの地域が登録されました。なかでもピア・ヘッドはスリー・グレイシズ(美を司る三女神)と呼ばれるロイヤル・リヴァー・ビルディング 、ドック・ビルディング 、キューナード・ビルディングが存在している地域で、リヴァプールの水辺の中心的位置にあり19世紀から20世紀にかけての港の繁栄ぶりを伝えるものとなっています。しかし近年、再開発計画が持ち上がり、歴史的景観を損なう恐れがあるとして2012年には危機遺産リストに登録されました。今をもたらした海商の発展とその裏にあった奴隷売買の歴史を、果たして「開発」の二文字だけで破壊してよいのでしょうか。
※写真・イラストは全てイメージです。ご旅行中に必ずしも同じ角度・高度・天候での風景をご覧いただけるとは限りませんのでご了承ください