マラリア・黄熱病について ※必ずお読みください

 南アフリカ、ジンバブエ、ボツワナ、ナミビア、ケニア、タンザニア、ウガンダに入国の際は、予防接種は入国手続き上、特に義務づけられておりません 。
 しかし訪問国(特にボツワナ、ジンバブエ)はWHO(世界保健機関)よりマラリアの汚染地域に指定されております。マラリアは、マラリアに感染したメスのハマダラ蚊に刺されることにより伝播され、4種類の原虫が原因で起こる病気であり、蚊が人の血を吸う際にその唾液とともにマラリア原虫が人の体内に入ることで感染します。典型的な症例の場合、感染から数日の潜伏期を経て発症し、発熱、悪寒、嘔吐等を伴います。その後、定期的な周期で発熱を繰り返すと、脾腫と貧血が起こってきます。

 マラリア原虫は、三日熱マラリア、卵形マラリア、4日熱マラリア、熱帯熱マラリアの4種類ありますが、マラリア脳症等を引き起こし死亡率が高いのが熱帯熱マラリアです。この病気に感染すると、赤血球が破壊され血液の酸素運搬能力が低下します。破壊された赤血球の破片は、腎臓や肺や脳の動脈を詰まらせ、命取りとなることもあります。治療せずに放置した場合、4種のうちの1つ、熱帯熱マラリア原虫によるマラリアは、死をもたらし、これは数日という比較的短時間のうちに起こります。
 他の3種、すなわち三日熱マラリア原虫・卵形マラリア原虫・4日熱マラリア原虫が引き起こすマラリアは、比較的軽症で、死に至ることはありません。ただし、これらは再発の原因となって身体を衰弱させます。マラリアが流行している国は全世界で100か国に及び、それらの地域に居住する人口は世界総人口の41%にあたる23億人に達しています。マラリア原虫は世界中に存在しており、主に熱帯・亜熱帯地域(ケニアでは標高1,800m以下、タンザニアでは標高2,500m以下の地域)にみられます。

 原虫を運ぶハマダラ蚊は、気温20℃以下では繁殖できません。蚊の生育のためには、気温30℃前後、湿度60%以上が必要です。そのため、気温と湿度がわかれば、1年を通じてマラリアがあるのか、季節的に発生するのか、あるいは、一部の地域に限られるのかをおおよそ予測することができます。 マラリアにかからないための予防策ですが、現在、ワクチンの開発はまだ成されていないので、予防薬を服用する化学的予防法か、蚊帳、蚊取り線香、防虫スプレー等の物理的予防法かを選択することができます。 
 またケニア・タンザニアはWHOより黄熱病常在国・風土病地帯に指定されています。黄熱病は黄熱ウィルスを持ったネッタイシマ蚊に刺されることにより伝播され、潜伏期間は3〜6日で突然の発熱、悪寒、頭痛とともに高熱をだし、嘔吐、黄疸、蛋白尿、皮膚粘膜の出血の症状が伴います。通常7〜8日で発病後治癒に向かいますが、重症の場合排尿障害、心不全、肝性昏睡などで死に至ります。
 予防策ですが、検疫所あるいは診療所にて一回のワクチンの接種で10日後から10年間有効の化学的予防法を得ることができます。接種をしていない場合は、マラリア予防同様に物理的予防法 で対処してください。なお、黄熱病は唯一渡航に際し、旅行経路によっては入国時に国際証明書(イエローカード)の呈示が要求される感染症でもあります 。

 予防接種をしていない場合、入国拒否あるいは入国時に接種されることもありますので、予防接種を検疫所あるいは診療所にて専門医とご相談の上受けられることを推奨します。 日本においては、マラリア原虫の診断ができる医療機関に限りがあるので、海外から帰国後、上述のような発熱症状等が出た場合、専門の医療機関において当該国に渡航した旨を告げ、早期に診断を受ける必要があります。マラリア・黄熱病は蚊に刺され感染するものなので、虫除けスプレーや防虫クリームをしっかりつけ、肌を露出しない服装を心がけてください。また白っぽい服には虫が寄り付きにくいといわれております。その他、蚊取り線香もあれば有効でしょう。(ネッタイシマ蚊は通年、ハマダラ蚊は特に10月から3月にかけてはより注意が必要な期間です)
 現地にて予防薬を購入できますが副作用等の問題がありますので、必ず事前に医師にご相談ください。
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